Taitung Times Vol.04.2022
アートな台東
南島語族の故郷で 美の宴がくり広がる
今期の台東タイムズは歴史について語ることが多いですが、歴史を知ることにより文化をより一層楽しむことができ、物語を知ることによりさらにもっと深く味わうことができると思います。およそ5000年も前、地球上の大きな面積で同じ文化を共有され、北は台湾、南はニュージーランド、東はイースター島で西はマダガスカル、多くの歴史学者や研究家を魅了する独特な文化がこれらの地で繁栄していました。現在この文化は「南島語族文化」と称され、台湾台東が発祥の地として認識されることが強まっており、台湾の東南に位置する台東は誰もがときめく様な景色のみならず、沢山の原住民族のルーツでもあり、南島語族の文化から発展されたものとみられます。

さらに今年の2月中旬より3月上旬まで放送されたナショナルジオグラフィックの3部構成のドキュメンタリーシリーズであるSecrets of the Ocean Tribesでは、台東だけでなく島内の他の原住民コミュニティにもスポットライトを当てながら体験と探索を行い、世界中の視聴者にタイトル通り「海の部族の秘密」として紹介されました。この番組の調査結果からも、台湾こそ間違いなく南島語族の発祥地であると再び検証されております。代表団も当県のブースに関心を持ち、台東のスマートシティに向けた努力を紹介することができました。

そのようなバックグラウンドから、台東県政府は2年おきに「南島国際美術賞」を開催しており、地元や海外のアーティストを誘致しています。台東の文化、南島語族の文化をもっと世間に知れ渡るため、作品にはアーティストが台東に感じた物をエネルギーに変えて創作を行って頂いています。今年の投稿は6月1日より開始し7月1日に締め切り、選ばれた作品は年末12月17日より次の年2023年1月29日まで展示される予定です。

2022年の南島国際美術賞は例年よりも大きく、もっと見どころ満載になるでしょう。 今年のイベントではファイナリストの数が2人から3人に増え、賞金も前より多くなっており、ファイナリスト1人あたり台湾ドル40万が提供されます。さらに、2020年の南島国際美術賞はコロナ禍のため止むを得ず台湾在住の方のみと参加制限がありましたが、今年のイベントには国内外を問わず誰もが参加して作品を投稿する資格があります。南島語族の歴史や文化に関心を持つ方、アートが好きな方、ぜひお見逃しなく。

台東暮らし
長濱、良い意味で貴方の期待を裏切ります!

このコーナーは私が日本人として台東での体験や感じたこと、エピソードなどを綴る文化観察系の記事:「顧問コラム」になります。今回のテーマは「長濱の食や景色」についてになりますので、ご覧になっていただけましたら幸いです。

台東の最北端に所在する長濱、電車の駅がないため自動車免許を持っていない私にとってはとても行きずらく、友人に誘われ年に一度か二度くらいしか訪れることはないです。しかし足を運ぶたびに私はサプライズを感じ、自分の台東に対する認識がまだまだ足りていないことに気付かされます。

いくつか印象的なエピソードを並べてみますと、まず一番忘れがたいのがここにあるフレンチレストランでしょう。とあるプロジェクトの関係でこのレストランのシェフとお仕事をすることになり事前にリサーチをしたところ、彼の略歴を見て私は不思議にしか思いませんでした。本場フランスのミシュラン三つ星店で修行を重ねた彼が何故わざわざ長濱まで?実は彼、兵役の代わりに教育サービスを長濱で務め、学校で料理教室を始めお母さん達や子供たちに料理を教えていた日々がありました。そんな彼はやがてフランスへ旅立ちますが、今のお店のオーナーが直でフランスまで向かい、彼の思うような店を長濱で共に作りたいと提案。やがて彼は首を縦に振り、毎日太平洋と向き合いながら24節気に合わせたフレンチをここで出すことを決めたのです。今ではもうすっかり人気店になり、半年以上前に予約しないと食べれない台東長濱でしか味わえないフレンチとして脚光を浴びています。

次のエピソードも食べ物関係になり、フレンチもですが同じように長濱ではありそうにない異国料理:スペインや南米風の料理が堪能できるお店です。オーナーは台湾人と南米人のご夫婦で、長年海外で生活されていた彼らは長濱へ移住し、奥さんの故郷の味を広めるべくこのお店を構えました。メニューがないこのお店は人数に合わせてお任せコースを提供しており、私の場合は大勢で食べに行きましたが、その味がまた絶妙でした。こんなにも本場のスペイン料理がこんなお手頃な価格で食べられるのもここだけではないでしょうか。

最後は個人的に大好きで観光客にとっても訪れる事マストな場所:金剛大道。台北でずっと生活していたため元より広々とした景色に憧れており、この金剛大道は長濱の旅で必要不可欠な景勝地です。写真で十分伝わると思いますが、見てください、この真っ直ぐ太平洋まで伸びていくような一本道。見渡す限りの海と空、誰もが憧れる絶景ではないでしょうか。

長濱は南廻と同じくあまり観光客の中では浸透しておりませんが、このコラムや『台東スポットライト』でご紹介いたしましたように、ここは文化や観光の宝庫なのです。私の紹介よりも100倍楽しく100倍美味しい長濱が皆様をお待ちしておりますので、必ず一度でも足を運んでみますと、貴方も長濱の虜間違えなしでしょう。

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台東スポットライト
台湾最古の歴史を辿って 長濱の過去と現在を再発見
ちょうど花蓮と台東の海岸線のど真ん中に所在する場所:長濱。交通の利便性より外国人観光客があまり見えませんが、実はこの地にとてもディープな文化が眠っています。遡ることおよそ一万年前、今では「長濱文化」と呼ばれる人類がここで生活されていた痕跡が現代に見つかり、現在確認されている2箇所の遺跡の一つを「八仙洞」とよび、もう一つは成功鎮に所在する「小馬」になります。八仙洞は長濱郷樟原村より南約2キロ地点に所在し、辺りに数十の高さが不均等な海蝕洞窟が見られ、1968年〜1970年の頃台湾大学考古人類学の生徒と教授がこの地で発掘作業を進め大量の文化遺跡を見つけ、先史時代より人類は洞窟を住居として扱うことがわかりました。一方、小馬洞窟は東河郷北海岸約400メートル地点に所在する石灰岩の小山の麓にあり、この「長濱文化」から台湾最古のお墓が発掘され、旧石器時代の文化と同じように農業や陶器の製作を心得ておらず、狩りや漁で生活を営んでいたことがわかります。

少し時を早送りし、ここから原住民族やその後移住されてきた民族について語りましょう。まず真っ先に平埔族シラヤ族、クバラン族やアミ族が長濱で暮らすようになり、その後日本統治時代の頃に開墾が進んだため、閩南人や客家人、そして漢民族がここで生活されるようになります。毎年の6月になるとまずクバラン族の海祭りがスタートを切り、長濱が賑わいます。一般的に見ますと平埔族は既に自分達の方言を無くしていると思われがちですが、台東県最多の平埔族と言われている長濱クバラン族は全くそのような問題わありません。いまだに自分達の言葉を使い、昔からの文化を守り、長老制も健在です。そして7月はアミ族の収穫祭が南から北へ始まり、祭りのために帰省される方々が多々見えます。

多元な文化が当たり前な台東ですが、長濱こそまさに台東の日常を垣間見るのに最適な場所でしょう。台湾全体から見て多数民族の漢民族もここでは30%のみ、逆にもっと多元文化の良さを知っている人たちとも言えます。長濱に住む40歳以上の漢民族の人はほぼ皆シラヤ族の巫女に病を見てもらった経験があり、シラヤ族の伝説を信じています。海の側にある小さな樟原村に閩南人や客家人、そしてクバラン族やアミ族が居住されており、皆共に漁を行うことが多く、漁獲があった人の家で飲んで食べて楽しむことが彼らの日常です。ザ・台東とも言える長濱、一度訪れてみればきっといい思い出があなたを待っています。

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イベント カレンダー

03/05~03/06
  • 2022 東海岸大地芸術祭
03/19~03/20
  • 2022 Makapahi 観光イベント
04/22~04/23
  • 2022 台湾国際バルーンフェスティバル
04/23~04/24
  • 2022 池上郷原住民連合豊年祭
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