Taitung Times 08.2022
百年の歴史を誇る台東天后宮と共に
全市揚げて12年一度の斎醮儀礼開催
2019年末よりコロナ禍が始まりかれこれ3年の月日が過ぎ、ようやく緩和が見えてきたと思いきや9月18・19日と二日連続で大きな地震に見舞われた台東。幸いなこと大きな人身被害はありませんでしたが、地震慣れしていると言われる台東県民も怯えるほどの大きな揺れでありました。災難が絶えないこのご時世、少しでも心が落ち着くような出来事があればと、まるでこのタイミングに合わせるかのように台東は12年一度の盛大な祭祀を迎えました

『醮』とは道教の儀礼の一つであり、天神に対する祭祀や饗食であります。本来より台湾の道教信者の風習として、地方が災害にみまわれて不安に陥ると天神に対して願いかけをすると同時に将来の加護を祈る儀礼があるのですが、大きな道教寺院がある地方では12年に一度の斎醮儀礼が開催されることがあります。台東天后宮は寅年に開催する風習があり、今年も台東で「天后宮後山媽七朝祈安清醮」が9月20日より24日まで盛大に開催されました。

儀礼は台東市内を包括し、天后宮のメインの祭壇以外に六つの祭壇を市内各地に設置され、それぞれが賑わいます。昔は全市を揚げて一週間の斎戒(飲食や行動を慎んで心身を清め、肉類を一切食しない)が風習でありましたが、現代社会の飲食に合わせて22日〜24日の三日間に短縮されました。この斎戒の伝統を尊重し殺生を慎むため、精肉市場は9月19日から一週間休業され、市内に所在する他の伝統市場の精肉店もこの期間中はお休みになりました。さらに台東市内の飲食店もこの12年に一回の祭祀に備えメニューを普段と違った肉なしのものにアレンジされたり、肉類のメニューを三日間売らないことにしたり、あるいは斎戒期間中は精肉店と同じように休業したり、ファストフードなど大型チェーン店以外のお店はほとんどこのイベントに参加されました。さらにこの三日間で精進料理を無料で市民に提供し、共に台東の安泰を祈るお店も多々あり、素麺などを無料で配布されていた寺院もあります。しかし儀礼に合わせたこれらの処置は決して強制なものでなく皆様が自発的に参加されているもので、もちろん信仰が違う方は自由に普段通りに生活を送られても全く問題ありません。

このようなイベントにより人々の心は和らぎ、もっとポジティブに未来に向けて歩み出す力を与えてくれます。様々な困難を乗り越えれば、明るく幸せな未来が必ずそこにあるでしょう。さぁ、台東をはじめ、台湾や世界中の平和・安泰を祈り、共に神へ願いかけをしましょう。

台東暮らし:
バイリンガル化が進む台東

このコーナーは私が日本人として台東での体験や感じたこと、エピソードなどを綴る文化観察系の記事:「顧問コラム」になります。今回のテーマは台東のバイリンガル化の歩みについてになりますが、私自身でなく英語担当のジェイミィ氏の体験に基づいた内容になりますので、ご覧になっていただけましたら幸いです。 新型コロナウイルスが世界で猛威を振るい、台東もその被害から免れることはできず、国境は長い間封鎖され特定な目的で入国されても耐えづらい検疫期間が要求されてました。しかしウィズ・コロナの時代になり、世界各国が渡航制限を解除している中で台湾も今年の10月13日より海外からの旅客に対し検疫を要求しない緩和令がやっと発表されました。

この日のために台東県政府は地道に準備を進め、ここ数年間進めてきたバイリンガル・トレーニング・プログラムは台湾原住民族コミュニティの文化やかつて中国語を話せる人だけしかしらない本場の料理を今では英語を話す人にも提供できるようお店の方などが語学力をつけております。我々は旅する人が台東を思う存分堪能し、言葉の壁を可能な限り解消したいと考えています。 9月中旬の頃、県政府はクロス−ジェネレーション・バイリンガル・トレーニング・プログラムの3回にわたるワークショップのうち2回目を開催しました。この4日間のワークショップはバイリンガル・トレーニングを受けているコミュニティや店舗が実際にネイティブスピーカーと交流する手段として英語のみを使用する環境を作り出し、結果は印象的でした。 今回の体験は私の同僚:ジェイミィ氏と他2名のアメリカ人が共にルカイ族やアミ族、ブヌン族の原住民族コミュニティをまたがる素晴らしい4日間の旅程に参加されました。関山と池上をも訪問する予定でしたが、残念なことに先日発生したマグニチュード6.8の地震により安全上の懸念からキャンセルされました。

彼らが体験されたガイド付きのアクティビティはアミ族の陶器と伝統的な木製の打楽器と管楽器のアンサンブルをはじめ、ルカイ族の狩りや植物体験の定番コース、原住民の歴史を知るツアーからブヌン族の狩猟練習とバーベキューにまで及びました。

様々なアクティビティの中、ジェイミィ氏のお気に入りは木製打楽器のアンサンブルだそうです。アミ族カケン音楽グループのショーの後、体験ツアーの参加者は楽器を演奏する機会を与えられ、彼はすぐにアミス式の木琴に向けて体を動かしました。彼らのガイド:Nikarは参加者に5つの楽器の1つを手に取らせ、簡単なリズムを教えました。すべての楽器が一緒にリズムを奏でたとき、素人とは思えないほどにまとまったとか。 アミ族の木製打楽器のレパートリーを知ったのも、この体験のおかげです。このような楽しさがプログラム全体に潜んでいるのです。かつて原住民族のみに限定されていた物語は時を通して中国語で表現できるようになり、さらに今、英語を母国語とするジェイミィ氏のような方々に。飽くなき好奇心を持ち、新しい知識や体験を欲する人には、台東で素晴らしい時間を過ごせることはお墨付きです。

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台東スポットライト:産官連携 
台東の未来に向け県庁とMUJIチームアップ
一企業が新天地で展開を図る時にはたくさんのリサーチが行われ、今回無印良品の台東進出の際にももちろん緻密な下調べが行われました。台湾の東南に位置する広々とした台東県でお店を出す前に、現地の人が抱えている問題を見出して今回の出店企画は立てられました。

台湾全土の10%面積を占める台東県、売上などを踏まえお店を出すなら誰もが台東市内に出店されますが、他の郷鎮の住民、特に年配の方や交通が不便な人たちにとって市内まで出て買い物することはとても難しく、欲しいものが買えなかったり近くで適当に済ませたりすることが多々あります。そんな問題点に着眼したMUJIは日本での経験を活かし、MUJI Truckという無印良品台東店を拠点にした移動販売車を地方へ送り込み、店舗まで足を運びづらい山間地や海岸などにお住まいの方々のもとへ定期的出向きます。現地のニーズに合わせて品揃えを調整され、最も台東らしい例として原住民族のお祭りの際、伝統の服の下には白い無地のTシャツを着るのが彼らの風習ですが、お祭りの前までバタバタして買い忘れた人たちなどがMUJI Truckで購入し、次回もたくさん用意してほしいという状況が実際ありました。

タイトルで「チームアップ」と書いてありますが、提携の話は遡ること2022年3月、MUJI台湾の経営陣が台東を訪れ初めて台東県政府と顔合わせされた時になります。お互いの理念や台東に対する思いを交換した結果、方向性が一致しているためチームアップすることになり、台湾で初めて正式に提携を組む地方自治体にもなります。無印良品と日本新潟県上越市の経験を活かし、台東の地域の活性化や施設・空間の有効利用、地域資源を活用した産業振興が期待されています。コロナ禍以前より様々な課題がありましたが、一段と努力が必要とされているこの時代に県政府と無印良品が今後どのように力を合わせて台東を盛り上げていくか、どうか楽しみにしてください。

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